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2023年3月期・各社の決算状況、価格転嫁で売上増傾向

上場する主要塗料・塗装関連企業の2023年3月期通期決算が発表された(集計16社)。



木工や家庭用需要以外の分野で、概ねコロナ禍からの回復傾向を見せた。また、原材料やエネルギー、運賃等の物価高による商品値上げにより、売上が増加傾向にある。一方で、価格転嫁をしきれず、営業利益等の収益面では、各社分かれた業績結果となった。また、床用や防錆塗料等で原料調達難の製品も現れた。
 
建築関連では、コロナ感染拡大後の工事延期等も改善してきているが、本格的な回復の振れ幅を次期に残す結果となった。耐候性、工程削減や省エネの製品は、堅調な推移が見られている。自動車関連では、生産台数が前年を上回り、回復を見せた。中国市場を除いて海外需要の大幅な需要も後押しとなった。補修分野でも、人流も正常化するにつれ徐々に回復してきている。工業関連は、需要別に差が出ている。新築向け、商業ビル向けの塗料が減少傾向にある一方、自動車内装用部品等は好調だった。粉体塗料も需要を増やしてきている。
 
構造物においては、市況が堅調に推移していることからも需要が増加。船舶においては、新造船、修繕船ともに回復。特に大型新造船、大型修繕船が好調にある。家庭用では、巣ごもり需要特需の反動減傾向は変わらず。エアゾール、ネット経由の販売は引き続き好調となった。
 
塗装機、塗装設備においてもコロナ禍で保留していた投資が再開するなどの動きを見せ、回復しきている。
 
今回、集計した16社(1社業績増減公表なし)の内、売上が対前年比増加した企業は13社。利益(営業利益)で対前年比増益した企業は8社であった。
 
次期見通しについて、原料価格は予断を許さないとしながらも、安定化する見方が多く、増益幅が回復するとしている。一方、シンナー類製品は、ナフサ価格・石油製品と連動するため、値下げも判断が問われそうだ。売上予想については、概ね市況が回復し切れていない需要を取込む見込みとなった。集計した16社の内、増収増益(利益:最終利益)の見通しとしたのは9社。