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日本溶剤リサイクル工業会、多角的アプローチ

日本溶剤リサイクル工業会は、2025年に「WG(作業部会)」の体制変更を実施した。WGの目的には、国の地球温暖化対策計画に掲げられた2030年度の廃溶剤マテリアルリサイクル量71万6千トンの達成がある。2021年比で17万3千トンの上積みが必須となり、この高いハードルを突破すべく、溶剤リサイクル事業者の若手経営者を中心に、ユーザーの巻き込みや、リサイクルの生産性向上、環境省事業の活用など、多角的なアプローチに乗り出している。

日本溶剤リサイクル工業会資料より本紙作成(2021年実績値より)

溶剤のマテリアルリサイクル量は、近年「横ばい」傾向が続いており、2030年目標の達成には従来の延長線上ではない抜本的な改革が求められる。そこでWGでは、課題解決に向けたアプローチを「①廃溶剤の分別」「②リサイクルの生産性の向上」「③経済性と環境価値の数値化」という一連の連動施策として推進していく。

まず着手すべきが廃溶剤の分別である。分別ができずにリサイクルへ回らない一例として、水分や不純物が多い廃溶剤が挙げられる。こうした廃溶剤は、リサイクルが困難となり焼却処理されるケースが多い。そのため、分別方法などをユーザー側と共有した上で協力してもらうことが、焼却処理に比べてCO2排出量が少ない溶剤リサイクル拡大への基盤となる。なお、回収方法や回収容器の工夫についても改善の余地があるという。輸送CO2を抑えるオンサイト(現場設置型)提案も含め、効率的な回収・処理体制の必要性を説いていく。

分別の徹底によって良質な廃溶剤が確保できれば、「②生産性の向上」がより加速する。従来の蒸留技術に膜分離等の新技術を組み合わせる検討のほか、DXの活用等も含め、リサイクル技術の向上を図る。

生産性が高まれば、「③経済性と環境価値の数値化」を実施する段階となる。具体的に排出ユーザーに対してSCOPE3で必要なCO2排出量の見える化のサービス、ならびにCO2の「削減実績の証明」を提供することができる。こうしたサービスを排出ユーザー側に寄り添いながら構築することで、LCA(ライフサイクルアセスメント)の視点を取り入れた循環モデルへの転換に向けた未来像を描いていく。

また、WGではこれらの取組みを一層推進するため、環境省の「脱炭素型循環経済システム構築促進事業」も活用し、工業会、業界全体でCO2削減に取り組んでいく方針だ。
今年3月~5月には中東情勢の影響による溶剤製品の供給不安から、再生品の価値が見直された。加えて時価総額3兆円以上の上場企業(プライム市場)には、2027年3月期よりサステナビリティ情報の開示(SSBJ基準)が義務化されるため、より環境に配慮した事業活動が注目されることになる。

工業会・会員各社で活躍する若手メンバーが主導するWGの精力的な議論を通じ、焼却処理との調和を図りつつ、国の脱炭素目標達成へ向けて主導権を握っていく。