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沖縄の街を巡る 建物・壁画を塗装で彩る

2020.05.07

沖縄発!台風に耐え、エコロジーな木造建築


沖縄は台風銀座といわれるほど毎年多くの台風に見舞われる。そのため丈夫なコンクリートの建物が一般的である。田中工務設計(兵庫県西宮市・田中良作社長)は、沖縄の知人の依頼で台風に耐え、エコロジーにこだわった新築の建物の総合企画を依頼された。
まず設計段階で沖縄の風速基準に耐え得る強度であることを構造計算で確認。ベタ基礎を採用することにした。ベタ基礎は、建物の重量を基礎全体で支え、地面からの湿気を防ぎ、シロアリも侵入し難い構造となっている。


沖縄ではコンクリート造りの建物は、夏の夜は熱気がこもったり、結露やカビが発生しやすいなどの改善すべき面がある。「住み心地の良い建物」というコンセプトで熱伝導率の低い無垢材を使った木造に決定した。
床材には調湿性のある杉の無垢材を、内壁にはシラスや珪藻土を使用。シラスや珪藻土は多孔質構造で優れた調湿性や吸着性がある。化学物質を含んでいないため、室内空気がきれいで健康的である。
なお、沖縄県環境科学センターによる、室内のパッシブ法測定結果は、ホルムアルデヒド11µg/㎥(室内濃度指針値100µg/㎥)、アセトアルデヒド21µg/㎥(室内濃度指針値48µg/㎥)であった。

屋根材は特殊な顔料により、太陽光の熱エネルギーを反射して、屋根の温度上昇を抑える効果がある。ガラス窓は複層ガラスを採用した。断熱性能が単板ガラスに比べて大幅に改善されている。外装仕上材には、耐久性に優れ、湿度が高くとも藻やカビが繁殖しにくく、弾性と伸縮性があるジョリパットが採用された。


またEM研究機構の指導により、主要な建材にはEM活性液の塗布およびEMセラミックスパウダーを壁材に添加した。EMとは有用微生物群(Effective Microorganisms)を略した造語である。
EMには、生物を始めてとしてあらゆる対象を蘇生(活性化)させる力があり、農業、畜産、水産、環境、医療、建築など多岐にわたる分野で高く評価され、様々な問題を解決している。
EMを応用した食品や製品は数多くある。EM栽培の米をはじめ、野菜、果物などの農産物。鶏、豚、牛などの畜産物、エビやカニなどの魚介類。EM資材、EM飲料、EM加工食品などがある。

完成した建物は沖縄県名護市の古我知にある。現在、島嶼(とうしょう)生物研究所(沖縄県)が北部作業所として事業を行っている。
同研究所は、琉球列島における生物多様性の保全を目的とし、これらの問題に積極的に取り組むために設立した。琉球列島の自然環境保護を第一と考え、保全のための知識と経験、技術を蓄積し、活動している。

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