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BASF、自動車カラートレンドはイエローに注目

BASF(ドイツ)は、2022‐2023年の自動車のカラートレンド予測を発表した。これを受けて、BASFジャパンは9月15日と16日に横浜市戸塚区下倉田町の同社戸塚事業所で説明会を開いた。

カラートレンドを説明する松原千春氏

 

会場に展示されたカラーサンプル


今回のテーマは「NEW ARRAY」(新しい様式)。価値の順序を並べ替えて新たなニーズに対応するためのプロセスを意味する。エスカレーターをモチーフとし、前にも次にも属さない、その中間にあるリミナル(境界に位置する)な空間にありながら、モビリティの未来を見据えているという。カラートレンドはアジア太平洋地域、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、米州の3地域に分けられ、次のようなカラーコンセプトが提案された。
 
▽アジア太平洋地域=キーカラーは「エフロレッセンス(開花)」。パールのようなアイボリーは、ポジティブでエキサイティングな価値の新たな瑞々しい開花を意味する。この色は環境に優しいプロセスと情緒的な雰囲気がある。BASFジャパン・コーティング事業部のチーフカラーデザイナーである松原千春氏は「アジア太平洋地域のカラーは、ポジティブで現実的な未来を形作る。社会的なプレッシャーから解放されてカラフルなアイデンティティを持った、自分だけのストーリーを描いてくれる」と述べている。
 
中国のキーカラーフォーカスは「ランラン(リラックス)」。この中国語は、特に主張せずリラックスした姿を意味する。中国市場のトレンドカラーとして解釈すると、最も明るい原色である、豊かで控えめなイエローになるという。
 
▽EMEA=キーカラーは「ミンテッドゴールド(輝く金)」。力強い輝きのメタリックゴールドであり、未来の自動車オーナーに新たな色彩価値をもたらす。キーカラーフォーカスは「グラヴァター(広範囲で使えるアバター)」。上質な天然土の色が含まれているアースカラーで、鮮やかなイエローの色合いは、明るいアイボリーのソリッドカラーをベースにしている。
 
▽米州=キーカラーは「ラヴァ(溶岩)」。ブラックの色域での奥行きがあるレイヤードカラーである。ベースは濃いチャコールグレーで、その奥行きに輝くような赤みが現れ、色の表面に光が当たることで、さまざまな効果が得られる。
 
南米地域のキーカラーフォーカスは「コージーバリュー(心地よい価値)」。南米で人気の小型車に適した、鮮やかな輝きを持つ銅色がかったベージュである。

多様性の価値観が広まるにつれ、近年はストレートにこの色がトレンドになるとは予想しにくくなっているという。その中において今回の説明会では、淡くくすみのあるアイボリーやイエロー、ピンク系が目に付いた。ジェンダーフリーといったSDGsの流れも反映していると考えられる。
 
塗膜技術ではワンコート仕上げを紹介。ローコストではなく、顔料や塗料の使用量削減、省工程化、人材不足対策など、今日の社会的要素を盛り込んだ提案であった。